【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

 こんな状況で友人が傍にいてくれれば、ニーナはきっと甘えて弱音を吐いてしまう気がした。
 口から出た弱音は、なんとか築き上げた脆い自信を簡単に崩してしまいそうで怖かったのだ。

「頑張るわ。自分の精一杯をだしてくる。……わがままだけど……応援、してくれる?」

心配をかけてばかりの友人におずおずと問うと「当たり前じゃない!」という即答とともにニーナは力いっぱい抱きしめられた。


友人に力をもらい、辿り着いた王城は想像よりも偉大で、厳かに佇んでいた。

 ――正面から入るのは初めてだわ……あの日は、違ったし。

厳重な身体検査を通過し、また厳重な警備に囲まれやっとのこと登城する。
外観から内部まで白亜を基調とした造りに、磨きあげられた宝石のような石床。柱や細部まで美しく豪華絢爛な彫刻が施されており、ニーナは口を開けたままキョロキョロと辺りを見渡してしまう。

 ――こんな美しいものに囲まれて、あの方達は過ごされているのね。

 この前、初めて至近距離で拝見したふたりの王子の姿を思い浮かべる。ふと、物珍しげに眺めるニーナの新緑色の瞳がある影を捉えた。

「――あっ」

向かいの通路に立つ、漆黒の衣装に、白銀の髪の男が真っ直ぐニーナを見ていたのだ。