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試験当日は絵の具で塗ったような雲一つない晴天だった。
王族主催のイベントということで、案外、調香師以外も注目しているらしく王城の周辺は出店が並ぶなどちょっとしたお祭りの雰囲気だ。
ニーナも試験のためとはいえ登城するのだからと一張羅のドレスを引っ張り出した。タンポポのような優しいイエローのシンプルなドレスはニーナのお気に入りだ。デザインは古いが、いつものボロよりずっといい。
ニーナの家の前で待っていてくれたリリィが半泣きで腕にしがみつく。
「ニーナ、本当に付き添わなくていいの? わたし心配だよ……またあの方にニーナが何かされたらもうわたしがおかしくなっちゃうもん」
「ええ。大丈夫よ。ありがとう、リリィ」
リリィは試験会場である王城まで付き添いをしたいと言ってくれた。けれど、ニーナは勉強時間をつくるため徹夜続きだったこともあり、自分で想像していたよりも緊張していた。
――どこからか私が参加するってうわさを聞きつけたお継母様がいつもより厳しくて……。
ニーナが立候補したことが気に食わなかったのだろう。一日数回のはずだった『不義の子』をここ数日は何十回も聞いた気がする。


