その香水は古い見た目とは裏腹に、液体は透明で無臭だ。母が病気になる前に作った最後の香水だった。そしてそれは結局完成させることができなかったのだ。
――お母様は毎日魔力を込めて調合レシピを考えていた。でも、完成しなかった。
瓶の底には香水の名が刻まれている。母の字で《真実の愛》と。
母は父の浮気に気づいていた。そしてこの香水を完成させて愛を取り戻そうとしていたのだ。だが、それも結局叶わなかった。
ニーナは香水瓶を胸に抱き、縋るように祈る。
「……お願い。どうか……っ」
この香水が完成すれば、これをもって試験に臨みたい。きっとどこにもない調合レシピだ。
この香水にニーナが祈るのは日課のようなものだった。想いを変えて、母のレシピをベースに調合を変え何度も、何年も祈り続けている。
母の想いを少しでも報いたい。そして、娘としての気持ちとは別にもう一つ密かな夢があった。
「……だめね」
胸に抱いた香水はなんの反応もない。
ニーナはなんだか泣きそうになった。今日のキスが、触れられた指と舌が頭をよぎる。
――お母様は毎日魔力を込めて調合レシピを考えていた。でも、完成しなかった。
瓶の底には香水の名が刻まれている。母の字で《真実の愛》と。
母は父の浮気に気づいていた。そしてこの香水を完成させて愛を取り戻そうとしていたのだ。だが、それも結局叶わなかった。
ニーナは香水瓶を胸に抱き、縋るように祈る。
「……お願い。どうか……っ」
この香水が完成すれば、これをもって試験に臨みたい。きっとどこにもない調合レシピだ。
この香水にニーナが祈るのは日課のようなものだった。想いを変えて、母のレシピをベースに調合を変え何度も、何年も祈り続けている。
母の想いを少しでも報いたい。そして、娘としての気持ちとは別にもう一つ密かな夢があった。
「……だめね」
胸に抱いた香水はなんの反応もない。
ニーナはなんだか泣きそうになった。今日のキスが、触れられた指と舌が頭をよぎる。


