【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

「受付されたんだよね……? 魔法用紙なんてやっぱり王族はお金持ちだなあ」

 ニーナの手の中で輝く光の粉を眺めリリィが溜め息をつき、ニーナはその粉に鼻を近づける。

「……香りってしないのね、残念」

 全く危機感のない友人に、リリィはお腹を抱えて今日一番笑った。


 ◇


 ニーナはまた野良猫のようにこっそりとクーリッヒ邸へ戻った。
 自分の家でもあるのに、夜中になってしまったこともあり足音を極限まで抑え行動する。
クーリッヒ邸の地下室。物置と兼用のため薄暗く湿っぽいが、ニーナにとってこの家で唯一心安らぐ場所だ。

ニーナは物置の隅にある、戸棚の前で瓶や調合道具を片手に頭を抱え、ああでもないこうでもないと頭を悩ませていた。

 試験の内容は二段階に分かれているらしい。
 第一試験は香りの判別テスト。それに合格すれば持参した香水を試験官に試香してもらい、一定水準を満たせば王族が直々に試してくれるのだという。そこで専属調香師が選抜される。
 まずは持参する香水を作ろうとあれこれ試しているのだ。だが、どれも納得できない。

 ニーナは一息ついて、戸棚の奥から古いノートと香水瓶を取り出した。

「お母様……力を貸してくださるかしら」