国を挙げて開催される祭りは多々あれど、第二王子が民の前に姿を見せることは今まで滅多になかった。そのため、ニーナも今初めてその姿を目にしたのだ。たが、リリィのように咄嗟に頭を下げるのではなく、ただその姿に見とれてしまっていた。
――なんて綺麗な瞳なのかしら。
深い深海のような蒼。テントの中が暗いから夜の始まりのようにも見える。記憶のなかの『彼』の瞳と重なって、絶対にありえないと分かっていても目が離せない。
なぜか今、第二王子の目の前でボロきれのようなワンピースを着ている自分が妙に恥ずかしくなった。服なんて気にしても仕方の無いこと、気にしたことなんてなかったのに。
そんなニーナに第二王子は嘲笑の目を向ける。
「なにを見ている」
薄く笑った唇は、捨て猫のような調香師の視線に苛立ちすら感じたようで突然ニーナの顎を掴んだ。突然のことに驚いて反射的に身を捩ると脆くなったワンピースの胸元が解れ、幼い顔立ちに不釣り合いな胸の谷間が顕わになる。
「な、なにを」
「――なんだ? 手つきになれば王族が娶るなんて戯言を本気にしているのか? ここまで熱心なんだ――試してやってもいい」


