オレンジ、ピーチブロッサム、ローズ、ジャスミン……嗅いだ瞬間に幸せな気持ちになる香りは数え切れないほどある。
けれど、こんなにも満たされて、思わずふりかえってしまうほど切ない気持ちになるのはきっと、この先も彼だけなのだろうとニーナは思う。
それだけ愛している人と肌を重ねられることがこんなに幸せだなんて、きっと彼に出会うことがなければ知らなかった。
額や頬にキスが降ってききて、ニーナは無意識にロルフの首に腕を回す。白銀の髪から優しく愛しい香りがして思わずすり寄った。
「どうしてこう君は……ああだめだな。可愛くてしかたない」
余韻に甘く震えるニーナをロルフは愛しげに抱きしめる。
「ロルフさ、ま……キス、したいです」
ニーナがそう強請ると唇に優しくキスをしてくれる。最初は戸惑ったキスも、今ではロルフに合わせて懸命に舌を絡める。ニーナの小さな舌はロルフが器用に絡めとって、舌先で撫でたり吸ったりしているうちにくたりと力が抜けてしまう。
ふたりの体が離れたのはもう朝方だった。もう何度求め合ったのか数えてもいない。
ロルフの腕に抱かれてニーナはその美しい横顔を眺めていた。睫毛まで美しい銀色で、空の旅でみた虹を纏った雲を思い出す。


