【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

 嬉しいはずの友人の言葉にニーナは少しだけ瞼を伏せた。今朝両親に言われた嫌味がまだ胸の奥に残っているのか、今できる精一杯の情熱を注いで調合したはずの香水たちが少し色褪せて見えてしまう。
(事実、何件か面接に行ったこともあったけど、全て『クーリッヒ家の不義の子』扱いで門前払いだったわ)

 ニーナとリリィの作った香水は、一般的に出回っている香水より容量が多く、瓶は至ってシンプルで実用的だ。香りも人気が高く、尚且つ香料が安価で手に入りやすいものを中心としている。貴族が贔屓にするような店では香水が手に届かない大衆向けに作られた香水を、王城付近の貴族御用達の香水店と比べるのもおかしなことだが、ニーナが逆立ちしても嗅ぐことすら出来ない材料を使用し最先端の製法を学ぶことができるのが純粋に羨ましい。

 ないものねだりをしてしまう自分が情けなくてニーナはあいまいに笑って返した。
 そんなニーナの落ち込んだ表情を見かねたリリィがぱんっと手を叩いて明るく切り出す。
「じゃあ、もしそんな高級店に勤める調香師たちに会えるって言ったらどうする?」
「えっ、本当?」
ニーナは友人の言葉に顔をあげて目を輝かせた。

「ほんとほんと。それも王城付近の超高級店のエリートたち!」