【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

 オレンジ、ミント、ラズベリー、日向の香り。その全てが記憶と紐付いて思い出になる。
 竜と猫は、そっと目を開けて見つめ合い、キスをした。

 赤い満月の夜を超えて、新しい朝が来たとき、ふたりは森の木の上に寝転んでいた。
 愛しい恋人が迎えることを諦めていた二十五歳の誕生日が無事に過ぎ、新しい一年を迎え入れる。
 素直に幸せだと感じた。それは、愛しい恋人との未来のはじまりと、王国の再建を意味していた。


 そこからは早かった。
 ロルフとニーナは赤い満月の光に飲み込まれた後、二日間行方が分からなくなっていたらしい。
 懸命な捜索が行われたがどこにも見あたらず、不意に神々の森の木の上に姿を現したのだという。

「全くさあ、君たちが色々やってくれちゃったせいで僕が大変だったんだからね?」

 そう王座で大袈裟な溜め息をつくミカエルは、この二日間にあったことを話してくれた。
 聖なる光に包まれたことにより、この国では不思議なことが一気に発生したという。
 まずはロルフに討たれ、自ら城を放火した王妃の傷は塞がったということ。ただ物言わぬ廃人になってしまったため、遠くの古城へ幽閉しているらしい。