【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

赤い満月の光が香水と猫と竜を照らし出す。そして、猫の祈りを聞き届けたかように大きな光に包み込まれた。その光は瞬時に、まるで森に光が差し込んですべてを照らし出すように広がり、ウィルデン王国全体を包み込んでしまう。ただその光景を見ていることしかできないニーナは手の中の《真実の愛》にヒビがはいっていることに気がついた。そして、今、自分が猫の姿であることも。

 ――ニーナ。

 愛しげに名前を呼んでくれた目の前の恋人が竜の姿であることも。
 赤い月の夜。竜に大きな力が宿り、加護を受けた猫と共に空を飛ぶ。そして魔力が高まったとき、国さえも創れるほどの大きな聖力が生まれる……。ミカエルが言っていた伝説はこのことだったのか、と自然と納得してしまった。
 猫と竜は目を合わせてどちらともなく頷いた。互いの手で《真実の愛》を包み込み、目を瞑って祈る。

 ――そうだ。ウィルデン王国のはじまりは竜と猫の愛だった。……ここからもう一度、やり直そう。
 大丈夫。信じる気持ちがあるなら。いくらでも、何度でも。もし、それが罪になるなら、その罪と共に生きていこう。全ての人に、なにかを愛する未来がくることを願って。

 竜と猫の願いを、赤い満月が包み込み眩い光のなかで《真実の愛》は互いの手の中で形を失った。