【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

 思い出せるのはロルフが「空をみせてやる」と約束してくれたこと、そして香り玉をわたしたことだけだ。そうやって会話をするようになった経緯があるはずなのだけれどそれは思い出せない。
 ロルフは森をぐるりと仰いで高らかにいった。

「神々の森よ。聞いてくれ。どうか彼女に記憶をすべて返して欲しい。その見返りはこの俺がいくらでも支払おう」
「ロルフ様……っ」
「大丈夫。生まれてからずっと封印されてきた竜の聖力だ。有り余っているだろう」

 森が竜の願いを聞き入れたかのように森が大きく唸り、強風に包まれた。
 ロルフが初めて竜化したときと同じように――目を開くと、そこには白銀の竜が凜と佇んでいた。

「……やっぱり、綺麗です」

 思わず見とれてしまったニーナに竜は背中に乗るよう促した。

 ――君に空をみせたい。

 直接、頭の中に語りかけられて思わずきょろきょろと周りを見渡してしまったが今ここにいるのは自分とロルフだけだ。
 改めて竜は神秘的な存在なのだと思わされているうちに、ニーナを乗せた白銀の竜は空へと飛び立った。