【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

「俺と関わった記憶を消していなかったら、君は殺されていたかも知れない。俺はなんの力も持たず君を護ることもできなかったんだ。当然の判断だった、君はなにも悪くない」
「でも……っ」
「でも、はいらない。君が俺を嫌いだというのなら今ここで俺を殺して構わない。だが俺に相応しくないかどうかを決めるのは俺自身だろう?」

 頬を優しく両手で包まれ、至近距離で問われると目をそらせない。ニーナはまた涙が零れそうになるのを必死に堪える。

「……っ、違和感に気付いてからずっと、ロルフ様の呪いが解けたら、そのときは姿を消そうと思っていました……ロルフ様の未来を見守ろうって……」

 家族に蔑まれ、捨てられ、調香師として母の形見の香水すら完成させられず、よりどころだった初恋は都合のいいところだけ覚えているような自己中さで。
 こんな私が、彼の側にいる資格なんてない。だからこそ早く呪いを解かなければ。そう焦っていた。

「俺は君との未来が欲しい……ニーナは俺が嫌いか?」
「っ、そんなことありえません……!」

 優しく微笑む彼に分かっていて聞かれているのだと悟る。

「辛い記憶ばかりを思い出してしまったんだな、そしてそれに捕らわれているんだ。楽しかったことは思い出せるか?」
「楽しかったこと……」