【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

 それからというものの、神々の森に不法侵入する不届き者が現れ、結界を強化したと大きな話題になった。森で珍しい植物を嗅いだ記憶のあるニーナはきっと自分のことだと後ろめたさから森に近づくことはなくなった。

 初恋の少年がいた。どこかの木の上で一緒に遊んでいて「空をみせてくれる」と約束してくれた。それが、どこの木の上なのかは分からない。けれど、神々の森では植物以外と出会っていないのだからそこはあり得ないと、そう思っていた。


 十三年前、ニーナは七つと幼かったが、ロルフだって十一歳の子供だった。
 そんな子供が自分だけが覚えている記憶を重ねていくのはどれだけの苦しみになっただろう。

「ロルフ様に全部背負わせたんです。それすら忘れて都合のいいことだけ覚えていて……初恋なんて綺麗な思い出にしていたんです! そんな私に……真実の愛なんて……伝えられるはずないんです、だから私は本当はロルフ様に相応しく――」

 もういい、そう遮るように顔を覆っていた手を引かれて口付けられる。
 噛み付くように、宥めるように、浅く深くを繰り返すキスに涙より心臓の音が早くなった頃、ようやく唇が解放された。