そうだ。あのとき、神々の森に入って遊んでいたのはニーナだけでなく、他にも数人の子がいて、年の離れたお姉さん、今の自分と同い年くらいの女の子が一人混ざっていた。
そしてその子こそ『加護を受けたいがために竜を誑かした』としてニーナの目の前で秘密裏に処刑されたひとりだった。
碧眼の少年は諦観した瞳でその光景を眺めた後、隠れていたニーナを見つけて蒼白な顔になった。
怯えた少女の表情は、少年をどれだけ傷つけただろう。
少年は少女の手を握ると優しく告げた。
『記憶を消すってことは、今までの君を殺すって意味だ。おれはこれから君を殺す』
『私、死んじゃうの?』
『うん。でもこれからの君は生きていくんだ。大丈夫。おれは君の幸福だけを祈ってるよ』
『……あなたの名前をきいてもいい?』
『だめ。……名前を知ると呼びたくなるから。俺も知らなくていい。さあ、そろそろ時間だ……目を瞑って』
瞼を上げたとき、そこは神々の森の外だった。香水の材料が欲しくてはいったはずなのに手にははにもなくて、不思議な気持ちだけが残った。
そしてその子こそ『加護を受けたいがために竜を誑かした』としてニーナの目の前で秘密裏に処刑されたひとりだった。
碧眼の少年は諦観した瞳でその光景を眺めた後、隠れていたニーナを見つけて蒼白な顔になった。
怯えた少女の表情は、少年をどれだけ傷つけただろう。
少年は少女の手を握ると優しく告げた。
『記憶を消すってことは、今までの君を殺すって意味だ。おれはこれから君を殺す』
『私、死んじゃうの?』
『うん。でもこれからの君は生きていくんだ。大丈夫。おれは君の幸福だけを祈ってるよ』
『……あなたの名前をきいてもいい?』
『だめ。……名前を知ると呼びたくなるから。俺も知らなくていい。さあ、そろそろ時間だ……目を瞑って』
瞼を上げたとき、そこは神々の森の外だった。香水の材料が欲しくてはいったはずなのに手にははにもなくて、不思議な気持ちだけが残った。


