【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

 繊細な刺繍がたっぷりと施されていて、魔法で紡がれた糸は星の光を吸い込んだ雲のようにきらきらと輝いている。どれだけ貴重で、どれだけ自分に不釣り合いな美しさか一瞬にして理解させられる。

 そして、純白のドレスが表す意味も。ウィルデン王国では婚約の際、伝説を模して男性が女性に純白のドレスを贈り、女性が香り玉や香水をお返しするのが習わしだ。

 ウィルデン王国は竜と猫と香水によって成り立つ特殊な国で、結婚に互いの身分は関係ない。もちろん、貴族は家同士の繋がりだと意識する者が大多数ではあるが、ルールとして当人同士が純白のドレスと香水を交わすことによって婚約を成立させることができる。
 だからこそ、ニーナは自分が纏うドレスの意味に顔を覆わずにはいられなかった。

「俺は君を心から愛している。離したくない」

 ロルフがニーナを逃がさないと腕に閉じ込める。ニーナはそれにただ首を横に振った。

「……ですが、愛は目に見えません。もう私には分からないのです。もし、ロルフ様の言葉が真実なら呪いが解けるはずなのにって……」

 こんなに愛しているのに。

「ニーナ。君が涙を流すほど不安になるのは……俺を信じ切れないからだろう? 俺の不甲斐なさがずっと君を傷つけ続けている」