未完成のようだから、いつかあなたに大切な人ができたら彼女を訪ねてみてください。そのとききっと、この香水はあなたを幸福へ導くでしょう。
調香師の名は――……
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「……お母様」
手紙に書かれていた調香師の名は、母の旧姓だった。
ニーナはポケットにしまっておいた母の形見を取り出し、宝石箱の中の香水瓶と見比べた。それは全く見た目で、香りも母から受け取った時と同じものだった。
気付いたら新緑色の瞳から涙が零れていた。
ロルフの母は我が子を恨んで呪ったのではなかったのだ。
ロルフの存在が気に食わなかった王と現王妃に始末するよう命じられ、後ろ盾のなかった王妃は苦渋の決断で呪いをかけた。それも二十五歳までは生き延びることができるように。
「どんな毒を盛られても死ななかった訳がこれか……」
ロルフが乾いた笑いを漏らす。ニーナが涙を拭い顔をあげると、そっと抱き寄せられた。
「もっと早く辿り着けば君の母上にも会えたかも知れないな」
調香師の名は――……
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「……お母様」
手紙に書かれていた調香師の名は、母の旧姓だった。
ニーナはポケットにしまっておいた母の形見を取り出し、宝石箱の中の香水瓶と見比べた。それは全く見た目で、香りも母から受け取った時と同じものだった。
気付いたら新緑色の瞳から涙が零れていた。
ロルフの母は我が子を恨んで呪ったのではなかったのだ。
ロルフの存在が気に食わなかった王と現王妃に始末するよう命じられ、後ろ盾のなかった王妃は苦渋の決断で呪いをかけた。それも二十五歳までは生き延びることができるように。
「どんな毒を盛られても死ななかった訳がこれか……」
ロルフが乾いた笑いを漏らす。ニーナが涙を拭い顔をあげると、そっと抱き寄せられた。
「もっと早く辿り着けば君の母上にも会えたかも知れないな」


