病で伏せている国王を興奮させるようなことをしてしまったニーナは王太子がそばにいてくれたお陰で控えていた王妃付きの従者たちからお咎めを受けることを避けられた。また、ミカエルも王妃から逃げる口実ができたと笑う。
午後の日差しが城の長い廊下で揺れている。
ニーナはミカエルの少し後ろを、ほんの少し警戒したまま歩く。
そんな警戒心丸出しのニーナを面白がるようにミカエルは足を止めて振り返った。
「ねえ、ニーナちゃん。王族の手がついたものは安泰って話、ロルフから聞いてない?」
突拍子もない話題にニーナは一瞬戸惑う。
「お聞きしてます……が、なぜそう言われているのかは……一見分からないですし」
「そう。分からないんだよ。でも竜族には分かる。竜族が抱いた猫族は、空を飛べるようになるから。その魔力はかなり特別なものになるんだ。僕にだって、今のニーナちゃんを包む魔力が特別なものだって分かるよ」
思わず自分の身体を見てしまった。今まで魔力が目に見えたことなんてないから、今だってなにもみえないが、王太子の視線から察するに確かに今までとは異なる魔力に包まれているらしい。そう思うと不思議だが、少しだけわくわくしてしまう。


