正体を隠したヴァンパイアは、甘い契約を交わしたい

と、そのとき
生徒会室の扉が壊れるんじゃないかってくらい勢いよく開いた

「花門さんっ!」

そこにいたのは向坂くん

なんでいるの

「へぇ。同属と契約者、ね。味見したかったのに、残念」

「会長、2度と近づかないでください」

私にはちんぷんかんぷんだったけど2人の間では会話が成り立っていたみたい

会長に言い放つと、行くよと私の腕を取り歩きはじめた向坂くん

教室に戻るとりっちゃんからメッセージが届いていた

『向坂と帰ってね!』

byeと手を振っている女の子のスタンプ付き

「麻生さんは?」

「えっと、なんだか帰ったみたい?用事があったんだって」

「そうだったんだ。花門さんは電車?自転車?」

「私、徒歩通学なの」

帰り道を聞かれたので答えると、さらりと『送ってく』と言ってくれた

脳内で昼のりっちゃんの声が再生されて、慌てて首をふる

「どうかした?」

「ううん、何でもないよ?」

『私のこと好きなの?』なんて本人に聞けるわけないもん

なんとか誤魔化すと、それ以上は追求してこなっかったから一安心