正体を隠したヴァンパイアは、甘い契約を交わしたい

噂だから本当かどうかわからないけど、火のない所に煙は立たないから関わらないようにしよう

といっても、会長は先輩
関わることなんてないと高を括っていた私

だけど私が今いるのは生徒会室前

今日ほど先生の頼みを断りたくなった日はない

つい先ほど、学級日誌を職員室へ行ったときのことだった

担任の先生が生徒会担当の先生で、ちょうど良かったとばかりにたくさんの資料と生徒会室の鍵を渡された

鍵は先生が持っていたものだし、マスターキーは施錠担当の先生が持っている

だから生徒会室内には誰もいない
そう思って差した鍵を回した

「失礼しm…」

予定では生徒会長の机にこの資料を置いて退出時にまた鍵をかけて先生に返すだけのはずだった

なのに入室して顔を上げた私の目に映り込んできたのは2人の生徒

生徒会員と思わしき男子生徒が女子生徒の首すじに顔を埋めている姿だった

その女子生徒の襟元のボタンとリボンは外れていてはだけている

先に私に気づいたのは女子生徒
ぱっちり目があってしまい私はパニック寸前

だけどこれだけ近いとわかってしまう、この男子生徒は会長だと

りっちゃんの言っていた通り整いすぎた容姿

これはみんなが騒ぐのも無理はない

でもその犬歯は異様に尖っていて、女子生徒は首すじを抑えている