正体を隠したヴァンパイアは、甘い契約を交わしたい

「で、今朝はどこ行ってたのよ」

お昼休み、お弁当を食べながら私に問いかけてきたのは私の大好きで大切な友だち

そう、りっちゃんです

りっちゃんを一言で表すと美人さん

この前男子が高嶺の花って話てたんだけど、共感できる部分もある

きっとファンクラブとかあるんじゃないかな

もしあるなら会員1号は私ってことだけは譲りたくないな

なんて思いながら今朝のことを思い返してみる

「えっとね…」

昨日傘を貸したこと

今日返してくれてそのお礼を言ってくれたこと

また後日、改めてお礼をしてくれるらしいこと

私が困っていたら助けてくれると伝えてくれたこと

それらをすべて話した

「それって!やよいにもついに春が」

うんうん頷く彼女

「そんなんじゃないと思う…よ?」

「やよい、お礼なんて『ありがとう』って言えば終わりよ?後日があるなんて、好意がある証拠なの。それに困ったら頼ってってことじゃん?」

もう確実だよぉー!
と、ひとり盛り上がっている

それにしても最後に見つめあったあれは何だったんだろう

結局あれだけが謎だったななんて考えていた時、

「私は向坂くんいいと思うよ?」

目をキラキラさせながら話す彼女