ちょっと。いや、だいぶ恥ずかしいけどこの声は抑えようと頑張ってみても無理っぽい

首筋から行う献血のようなものだと恥ずかしくないんだと思い込むことにした

「……ありがとう」

飲み終わったっぽい彼が最後に傷口を舐めると泣き言もなかったかのように元通りの首筋で、傷あとすら残っていない

「体調はどう?」

「ずいぶん楽になったよ」

彼の言葉どおり顔色も良くなっている向坂くん

熱も計ってもらうとさっきより下がっていた

でもまだ安静にしておくべきだと思うから、

「向坂くん、私カフェ・オ・レ買ってくるから待ってて!」

と勢いよく出てきたのは、この赤い顔を見られたくなかったからって言うのも理由のの一つ

でも心配だから早く買って戻ろうと歩みを速めた

いつも彼が飲んでいるカフェ・オ・レをカゴに入れてレジをすます

元来た道を辿って彼の部屋へそろりと入るとスースーと眠り込んでいた向坂くん

起こすのも悪いからと自分の持っているルーズリーフにメッセージを書くと彼の机に置く

おでこの冷えピタを張りかえると冷蔵庫にカフェ・オ・レ入れ、向坂家をあとにした