正体を隠したヴァンパイアは、甘い契約を交わしたい

成り行きであがってしまった彼の家

彼のしんどそうな息遣いだけがが響く

「カフェ・オ・レ買いに行かねぇと・・・」

「風邪をひいている時はこっちを飲んで?」

買ってきたスポーツドリンクを手渡すとごくごくと一気に飲み干した彼

いっつも飲んでいて好きなのはわかるけど、今は風邪を治すために身体にいいものを取らなきゃ

熱を計ってもらうと、38度近くあった

これは病院行かないと

「保険証持って病院行こう」

タクシー呼んでくるね、と一旦彼の部屋を出ようとしたとき

クイッ

弱々しく引っ張られた腕

「どうしたの」

「ダメなんだ」

どういうことかわからなかったけど、必死に繰り返すから病院へ行くことはやめにする

でも彼のしんどさを少しでも和らげたくて思いつく限りのことはしたつもり

「あり...がと。これ以上はも、いいいから」

「ううん、そういうわけにもいかないよ」