正体を隠したヴァンパイアは、甘い契約を交わしたい

ガラッ

そんな事を考えていたら開いた扉

先生が戻ってきたんだろう

使用してますって言わなきゃ

起き上がってスリッパを履こうとした時、ベッドを囲っているカーテンが開いた

「せんせ……?」

「花門さん熱が上がるって」

「あれ、こーさかくん?」

白衣を着てないし、声が彼だと思う

頭がクラクラしているし、視界もモヤがかかっていてはっきり分からない

「カバン持ってきた」

だからほら、まずは寝てと私を促す声に従ってまたベッドへ横になる

「ありがとう」

お礼を伝えると彼はベッドの近くに椅子を持ってきてくれた

そこにただ座っているだけ

ただそれだけなのに私は安心できて、ゆっくりと目を閉じた