2人で校門を出る

会話らしい会話もなくお互い無言で歩く

彼は私の歩幅に合わせて歩いてくれているみたいでやっぱり優しいなと思う

「そういえば向坂くんなんで生徒会室に来てたの?」

「花門さんを手伝おうかと思って」

そういえばと聞いてみると、先生に『花門じゃなくて向坂に生徒会の資料を運んでもらえばよかったな』と言われたからだそう

「重たい資料って聞いて追いかけたら、中からものすごい音が聞こえてノックもせずに…」

とつづける彼

実はあの時、『花門さんっ!』と来てくれたことで私は安心した

今日初めて話したクラスメイトの彼だったけど、誰かが来てくれたことが嬉しかった

すぐに私を自分の背中に隠すように会長との間に入ってくれて
かっこいいなって思っちゃった

「朝も、さっきの放課後のことも本当にありがとう」

お礼を言うと大した事してないからと笑う彼に胸がきゅぅっとなる

「どうかした?」

「ううん、なんでもないよ?」

本当にどうしちゃったんだろう彼が眩しく見える

夕陽のせいなのかな?きっとそうだと結論付ける

「あ、ココ私の家。送ってくれてありがとう」

「うん、また明日学校で」

じゃぁと手を振って帰っていく向坂くんを見送った