「失礼しました」

職員室のドアをそっと閉じて昇降口まで急ぐ

今日は雨だから部活の生徒たちは教室を借りて練習している

もしくは、トレーニングルームで筋トレをしていたりもする

どこにも所属してない帰宅部2年の私、花門 春(はなかど やよい)は少しでも雨が弱まっているうちに帰りたい

だけど靴を履き替え帰ろうとしたとき、誰か人がうずくまっている姿を見つけた

もう下足に履き替えているから学年はわからないけど、男子生徒

このままほっっといて帰ることなんてできない

今この場には私しかいないんだからと意を決して声をかける

「あの、大丈夫ですか?保健室行きます?」

「...な」

「え?」

「俺にかまうな」

怒られてしまった…

でもこのままいつやむかわからない雨の中待つのって寒いよね

「あの、良かったらこの傘使ってください」

私が持ってきていたビニール傘を彼の横に置く

押し付けたように感じたのなら申し訳ないなと考えながら、私はいつも持ち歩いている折りたたみ傘を広げる

念のためにって役に立つんだなと思いながら帰宅した