「見ないで……」
「どうしてです?」
「男が顔を赤くするとか、照れてるとか、恥ずかしい」

 アンリはその場から立ち去ろうとドアに向かって急ぎ足で向かった……が、その足は止められた。

「私も、好きになってもいいですか?」

 愛しい妻に控えめに後ろから腰に手を回されて、彼はその歩みを止めた。
 胸の鼓動はもはや止まってしまいそうなほどに揺さぶられる。

「アフタヌーンティー……飲む?」

 必死に紡がれた夫の言葉に、エリーヌは柔らかな声で返事をした。

「はい、ぜひ」