「まず、ここにいるエリーヌへの危害。毒草を主成分とした危険薬品をある魔術師に命じて作らせて彼女の歌声を奪った」
「何を根拠にそんなことを、あれをやったのはロラだと聞いている」
「いいえ、裏はとれましたよ。魔術師が吐きましたし、関与した調合師も罪を認めました」
「私はやっていない!」

 アンリは想定内というように次の話題へと移る。

「その協力者だったロラにも危害を加えた。地下室で監禁して死なせる直前まで暴行した」

 最初は様子伺いで聞いていた貴族たちも皆ひそひそと話を始める。

「くそー! 黙れっ! お前らも皆黙れ!!」

 王族、ひいては第一王子らしからぬ品格のない言葉の数々に皆さすがに言葉を失っている。
 もはやゼシフィードにはその反応すら届いていないようで、アンリの言葉に腹を立てては反論した。
 わなわなと震えて拳を作り、何度もアンリに暴言を吐く。

「ゼシフィード様、お見苦しいです。おやめください」
「黙れエリーヌ! そもそもお前が私から離れていかなければよかったのだ! お前のせいで……」
「ゼシフィード様っ!」

 アンリは強い口調で彼の名を呼ぶと、耳元でこう囁いた。