初めてのエリーヌ、アンリ、ルイスでの朝食に三者三様の態度が見える。
 兄弟久々の朝食を嬉しく眺めて、心を躍らせている者。
 外の世界の明るさに少し緊張しながら、やはり慣れないという様子でそわそわとする者。
 自分の娘が嫁ぐ今まさにその瞬間のごとく、瞬きを繰り返して挙動不審な者。

 あまりにも違いすぎる仕草や雰囲気に、ディルヴァールとロザリアは互いに目を合わせて頭を抱える。

「エリーヌ様はともかくとして、あのご兄弟の緊張具合は……」
「はい、久しぶりなのはわかりますが、そんなに顔をこわばらせなくとも」
「アンリ様はもう泡を吹いて倒れる寸前ですね。私はこれから仕事で離れなければなりませんので、なんとかこの三人を、いえ、問題児二人を頼みました」
「かしこまりました」

 ロザリアはディルヴァールに頭を下げる。
 ちょうど頭をあげたところで三人のほうから声が聞こえた。

「アンリ様、今日のお野菜も美味しいですね」
「あ、ああ! そうだな! ここらの港でとれる魚は美味しいからな!」
「……」
「兄さん、魚の話してないから」
「へえ!?」