「なぁんだ浮気かと思っちゃったァ!あ、私ともくんとお付き合いさせていただいてます桃花でぇす」


キャピキャピと喋る目の前の女の子よりも、お付き合いしていますという言葉よりも、何よりも何よりも親戚の子扱いされひたすらキョロキョロと目を泳がせている目の前の男に怒りが沸きあがった。

「そうなんだぁ、へぇー、詳しくお話聞きたいなぁ」

目はギンッギンに智晴の方に向けて口だけ笑顔を作っている今の顔をみんなに見て欲しいくらい怖いと思う

でも私は浮気されてたのを知った時でも笑顔作れるよ、なんてったって社会人ですからね。ははは


「あ、今日あたし友達と来てるんでぇ、また今度お話させてくださいー!失礼しますぅ。じゃあね、ともくん」


「あ、あぁ」


顔面蒼白になっている智晴なんて気づくことも無くそのままドリンクを持って去っていった女の子を確認して私は口元の笑顔が消え段々と般若顔になった。



「これは、どういう事かしら?ともくん?」



「あ、いや、えと……すみませんでした。浮気してました」

あまりにもあっさりしてるねこの男。


というか明らか私よりも若そうだったしなんなら成人してるのか?と思うほどの幼さだったけどこの男はマジで大丈夫なのか?とすら思えてくる。

「あの子と比べて私の方を捨てることにしたわけね」

「うん…俺若い子の方が好きなんだなって思っ」

ブンッッッッ



ドラマでよくあるシーンを思い出してコップの中身を智晴に振りかけるが、さっき水をほぼ飲んでしまっていたのでバシャッとかかる訳でもなくただ水滴のようなものがピチャッと飛び散っただけで私は恥ずかしさで咄嗟にコップを置いて


「別れる。さようなら」


とだけ言って足早にその場から逃げた





あそこは水ぶっかかるシーンでしょ!水飲まなきゃよかったー!

なんて間抜けなこと考えながらファミレスを出た