「私はものじゃありませんから」

「だとしても、同じことだ。最初に言っておくよ。俺はアンタを諦めるつもりはない」

そう言うと、何か走り書きして私に押し付けて、さっさと去っていく。

これが、いわゆる俺様というやつなのだろうか。

現実に居るとは思わなかった。

名刺の裏に、プライベートの電話番号を書いてあった。

こんなもの貰っても、私が連絡するわけがない。

名刺を破ると、駅のゴミ箱に捨てて帰宅した。