別に同じクラスだからといって特別仲が良かったわけではない俺達。



でもその日からなんとなく話すことも多くなった。



女子と喋るなんてなんだか面倒に思っていたのに、山下とは気がねなく話せたんだ。



そしてそのうち、「勇太(ゆうた)」「カノン」で呼び合うようになった。



それから間もなくやってきた小学校の卒業式。



涙で溢れる担任の先生に負けないくらい大泣きしていたカノン。



ホントは一緒に泣きたい気持ちを隠すように俺は涙をこらえ、



そんなカノンに言ったんだ。



「泣くなって・・・」



すると、あいつは真っ赤に泣き腫らした目で俺を見た。



「だって・・・先生とか、私立行っちゃう子とか・・・もう会えないんだよ?悲しいよぉ・・・」



「会えなくなるわけじゃないって。会いたけりゃ会いに行けばいいんだ。なっ?だから・・・泣くな」



「・・・うん・・」



ホントはカノンの泣き顔を見たくなかっただけなのかもしれない。



この時の俺にはよく分からなかったけど、



とにかくカノンには泣き止み、笑顔になってほしかったんだ。