駆け足で俺に近づいてくるのは、山下カノン。



「へぇ~。山下でも寝坊とかあるんだ?まっ、俺なんかいつもこの時間に登校してっけどさ」



遅刻なんかどうでもいい俺。



急ぐわけでもなくゆっくり歩く俺の速度に合わせる山下。



「今日はあたしも遅刻しちゃおっかな・・・・・」



「へ?いいのかよ?」



「うん。まぁ、たまにはね」



ちょうど校門をくぐった時、朝のチャイムが鳴った。



下駄箱には誰もいない。



そんな状況に慣れてる俺のそばで、



「遅刻なんてなんかドキドキするっ」



なんて言ってる山下を俺はただ黙って見ていた。