少し怖い君に、振り回される



 「砂苗(さなえ)~、いる~?」



 十数分かけてやっと書き終わった名前。

 日誌を閉じて席を立ちあがったとき、教室のドアががらりと開いた。

 そして、私の名前を呼ぶ聞きなれた声。



 「あっ、(みなみ)ちゃんっ」



 現れたのは、私の友達である湖出(こいで)南ちゃん。

 もしかして、私が知らないうちに待っていてくれてたのかな。



 「ご、ごめんね。ちょっとまってっ」



 私はあわててペンケースにシャーペンと消しゴムをしまい、それを入れたカバンを肩にかける。

 それから、机の中に忘れ物がないか確認して―――。

 最後に日誌を持った。



 ゆ、湯山くん、また明日っ。



 心の中で呼びかけつつ、小走りで席を離れて南ちゃんのもとへ行く。



 「っ、はあっ。お、おまたせ……」

 「いやいや、そんな息切れで言われても。大丈夫そ?」



 長くてさらさらのポニーテールを揺らしながら隣を歩く南ちゃんが、私のほうを見る。