少し怖い君に、振り回される



 天新くんは、いつも私の不安を強引にかき消していく。いろんな意味で。

 そして彼の存在は、私の中で眠っていた勇気を引き出してくれる。



 告白をしようとする勇気も、ここで本当に今、気持ちを伝えようとする勇気も。

 全部……。

 ぎゅっと目をつむる。



「わ、私も、天新くんのこと……すき、です」



 ……い、えた。



 怖くて、顔が見れないよ。

 だけど反応は知りたくて、ゆっくりと目を開ける。

 そしたら、天新くんの視線が私の目よりも下に向いていることに気が付いた。



「ど、どうしたの?」

「や……砂苗の唇、うまそうだなって」



 !?……!? 何考えてるの天新くん!?



「食っていい? これ」

「……あう、ど、うぞ」

「ありがと」



 視線が移動し、私の瞳の奥をまっすぐ見つめてくる。

 すき、だけじゃ収まらない気持ちが、見透かされてしまいそうなほど。



「砂苗」



 天新くんが私の名前を呼ぶ。

 ———彼がしてくれた初めてのキスは、さっきの言葉よりも、想像よりも、ずっとずっと優しくて甘いものだった。



 数秒そうしてから、ふわりと離れた唇。

 きゅう、と胸が締め付けられる。