少し怖い君に、振り回される



「水町」



 突然優しく腕をつかまれ、私はハッと我に返って立ち止まった。



「お前、通り過ぎんなよ」



 目の前に現れたのは、いつもとちょっと雰囲気の違う湯山くんだった。



「あ、ごめんなさい」



 私服姿……初めて見た。

 そっちのほうが気になっちゃって、状況が上手く頭に入ってこない。

 だってか、かっこいい……っ!

 心臓の鼓動ががさらに高まる。



「おはよ、水町」

「あ、おはよう、ございます」



 やっとのことで下を向いていた顔を上げると、彼の瞳……ではなく、耳が目に入った。

 あ、ピアスつけてる。

 穴が開いているのは知っていたけれど、というか見たら分かるんだけど、つけてるのは初めて見た。

 銀色のフープピアスが、日光の反射できらりと光る。



「いつもと髪型、違うのな」

「あ、うん」



 湯山くんに言われて、私はうなずいた。

 いつもは低い位置でツインテールにしてる髪。だけど今日はそれをおろして、ゆるく巻いて後ろに大きめの白いリボンをつけている。