少し怖い君に、振り回される



 「ん、ん~」



 あ。

 小さくうなり声をあげながら、湯山くんは身体を起き上がらせる。

 まだ、眠そうだ。だけど……ここは。



 「あの、湯山くん」

 「ん、なに」



 寝ぼけているのか、信じられない距離でバッチリ見つめてくる。



 心臓が、うるさい。

 聞こえちゃうと困るから、静かにしてて。

 お、お願いだからっ。



 「日誌に、名前、書いてくれないかな……?」



 脈打つ鼓動の速さと同じくらいの調子で震える声。

 ……だけど、湯山くんは答える気配もなく黙り込む。



 も、もしかして、私の声が小さすぎて聞こえてなかった?

 そう思ったとき、湯山くんはやっと口を開いた。



 「ん~書いといてよ」



 すると、用事を終えたかのようにまた机に突っ伏して寝息を立て始めた。

 時間かけたのに、結局私が書くことになってしまった。



 完全に私は、湯山くんに振り回されている。