少し怖い君に、振り回される



「なあ、俺たち付き合わねえ」



 放課後。自分の席に座って勉強していると、後ろから聞こえてきた。

 ……誰かが、誰かに告白する声が。

 それは、とても聞き覚えのある重低音。



 手が止まり、シャーペンをコトリと落とす。



 ……ああ、やっぱり私じゃ、ダメだったんだ……。

 心臓が掴まれて、ぐちゃぐちゃにされるような感覚。



 ……好きな人と、両想いになれなかった。

 しかたない。私、つまらないし、どんくさいし、かわいくないし……。

 彼と友達でいられただけよかった、のかな。




「おい、水町。聞いてんのか」



 がたっと椅子を引く音。続いて、私は誰かに腕を引っ張られる。

 その拍子に後ろを向くと、私の好きな人———湯山天新くんと目が合った。



「……え、なんで泣いてんの」



 私は掴まれてない左手を目元にやる。指先がぺたりと湿った。



「な、泣いてないです。大丈夫っ」



 涙をこすってごまかそうとすると、左手も掴まれてしまった。