誰もいないはずの教室。そこに……制服姿の湯山くんが、いたから。
びっくりしつつも、私は教室のドアを閉めた。
彼と目が合い、心臓の鼓動が早くなるのがわかる。
ちょ、ちょっとまって、心の準備してな————。
「......ごめん!!」
静寂を破り、私の耳に入ってきたのは謝罪。
いろいろと予想外すぎる展開に、私の頭は完全に真っ白。
言いたかったこと、聞きたかったことも全部吹っ飛んでしまった。
「......え、どうして?」
なんとか絞り出したその言葉に、湯山くんは顔を上げる。
「だって、いきなり腕なんか掴んだから。あと他にもいろいろ水町には、やらかしてるし」
「う……でも、嫌な気持ちになんてなってない。だって私は、湯山くんのことがっ」
「ちょ、ちょっとまて。みなまで言うな」
好き。
勢いで言ってしまいそうになった気持ちを、すんでのところで湯山くんに止められる。
「ごめん、でも聞いて。水町」
「……は、はい」
私の言葉の続きを察したのかは分からないけど、そう言われたので私は頷いた。



