少し怖い君に、振り回される



 ———終わりだ。

 私が今、勝手に、終わらせてしまった。

 私が全部悪い。自業自得。



 この名前をつけられないほどに曖昧過ぎる関係。

 友達にすらなれない、関係。



「わっ、私、帰らないとです」



 とにかくこの場を去りたかった。

 恥ずかしさと罪悪感でどうにかなってしまいそうだったから。



 急いでカバンを肩にかけ、椅子をしまう。



「じゃ、じゃあ、また」



 挨拶なんかしてしまって。

 目、合わせられないのに。



「さよなら———」



 ドアへ向かいながら、そう言いかけたとき。



 ぐっと、手首を掴まれた。



 一瞬、何が起こったのか理解できなくて。

 何かの幽霊かと思ったけど、そんなわけはない……よね。



 ちらりと視線だけ振り返ると、湯山くんが下を向いていた。

 な、なんで。

 だって、湯山くんにとって、私は。



 引き止めるほど、記憶に残るような存在じゃないのに。