少し怖い君に、振り回される



 私はびっくりして、体がぴくりと震える。

 そして、ドアのほうを見た。



 ……そこにいたのは。



「水町?」



 体操服を着た、湯山くんだった。

 まさかの本人登場。

 瞬間、サッと血の気が引く。



「……っあ、えっ、えっと、これは……」



 多分今、湯山くんには私が、用もないのに自分の席に近づいた謎のクラスメイトに見えている。



「水町、席、一個間違えた?」



 湯山くんはなんて事のないような顔で近づいてきて、そう言った。

 え、と予想外の言葉にちょっと驚く。



「あっ、ご、ごめんなさいっ。ごめんなさい」



 さすがにその言葉にうなずく、なんてことはできなくて、ひたすら謝った。

 そして私はすぐにその場から離れて自分の席へ戻る。



 どうしよう。恥ずかしい。さっきとは別の意味で、心臓が苦しい。



 あの言葉は、私のための嘘だ。

 もしくは、湯山くんが、私が席を間違えたんだって思うための。



 だけど、それ以前に。

 ……絶対、気持ち悪いって思われた。