たとえ君の記憶がなくなっても。




ついに仮交際最終日になった。



今日でユイトくんとの関係は終わる。



ローファーを履き、玄関の扉を開ける。



目の前にはユイトくんが立っている。



もう見慣れた、日常になりつつあるこの光景も今日で終わりだと思うとユイトくんの方に足を踏み出せない。



「おはよう」



そんな様子を知ってか知らずか、手を振りながらこっちに向かって歩いてくるユイトくん。



「おはよう」



挨拶を返せば眩しい笑顔で応えてくれた。



「今日の放課後さ、渡したいものあるんだけど家来られる?」



歩き出すや否や、唐突に口にした内容は今まで聞いたことのないものだった。



「いいけど、渡したいものって?」



「それは放課後のお楽しみ」



ユイトくんは僅かに口角を上げた後、この話は終わりだとばかりに別の話題に切り替えてしまった。