ヴォーカルを続けることは不可能だ――― そう分かった時、検査前にかねて決断していたことを実行することにした。 別のヴォーカルを探すのだ。 連日部屋にこもり、事務所やレコード会社に送られて来るデモテープを聞きあさった。 養成所のレッスン生資料にも目を通したり、あるいはインディーズで売れているバンドをピックアップしたりした。 始めたばかりだけど、なかなかコイツだ!というヤツは出てこない。 みんな歌い方が妙に似ているのだ。 もっと素直に歌ってくれる声が欲しい…… オレは煮詰まっていた。 .