1998.8.10






初めて降り立った駅の近くに、僕は可愛らしい花屋を見つけた。




「いらっしゃいませ」




店員は意外にも若い男性だった。




「あの、あまり¨らしくない¨花束を3千円くらいで作って下さい」



僕はその店員に注文した。



「えーと、何らしく無くです?」

店員が目をパチクリさせる。



「その…お墓に」



ああ、と納得したように
「かしこまりました。お参りする方が好きだった色とかあります?」


店員は色とりどりの切り花の前でかすみ草を何束か取った。



好きな色は………



「オレンジ、でした」





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