1998.12.6






狭苦しい部屋の電気が消され、ライトが当たるボードだけが暗闇に浮かんだ。


ゴーゴーと冷房の音がやけに大きい。




ボードには2枚のレントゲン写真が貼られていた。




素人のオレにはそれが自分の体のどの部分かよく分からない。




喉、
と気管と肺なんだろうと思う。



気難しいであろう老医師が立ち上がった。



「分かりにくいかもしれませんが、この部分が病巣です。」


医師は持っていた指し棒で写真の丸い影のような所を叩いた。



「……はぁ、」


気の抜けた返事しか出てこない。



「それは…その、よくないものなんですか?」


遠山が口を挟んだ。




「それはこれからです。内視鏡はご存知ですか?あれで実際の部分を目視するわけです。その時の判断で切断したりします。」



「うぇ、カメラ……?」


呻いたオレを見て医師は頷く。



「よいものか、わるいものか。つまり良性か悪性かはその部分を病理検査で確認します」


オレはげっそりした。




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