西暦1998.7.02





暑い。
その上街全体がじっとりと蒸し返している。



駅の改札をくぐり新宿の地上へ一歩足を踏み出した僕、「本城ミナト」は、思わず歩き出すのを躊躇った。


時刻は午後2時前で、太陽は真上にある。


普段この時間帯新宿にいることはない。



今日も午前4時に帰宅したし、本当なら午後6時にならないとここへは来ないはずだった。




7月―――
朝も夜も決して暑くないわけではない。



それでも昼間の炎天下がここまでの蒸し鍋状態とは思わなかった。




いかに自分が夜の住人かを思い知る。





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