僕はゆっくり顔を上げた。 涼さんの、見下ろす黒い瞳を見つめ返す。 「どうして……あんな風に歌ったの?」 「あんなって…?」 「答えてくれている、みたいに」 「涼さ……」 口を開こうとした唇はそのまま塞がれた。 やっぱり、違う。 僕は目を閉じてそう思った。 昨日、ワケも分からずされたキスと。 もう、全然違う。 抱きしめる腕が愛おしい。 「涼さんが……好きです」 .