昼間にも言われたこと。
僕らしさ、つまりオリジナリティ。
涼さんを意識し過ぎずに確立するなんて出来るだろうか?
oneを存続させた時点で、全く新しいことを目指しているとは言えないのだから。
ファンだって着いて来ないだろうし。
僕はKouさんが待っていてくれているにも関わらず、つい無言になって考え込んでしまった。
正直に、まだ無理です、と言ってしまいたい。
谷先生に言われたことが不安を上乗せして。
技術的にどうすればいいかも分からない。
打ち明けたいのは……
涼さんだった。
「明日から、頑張ってみます」
長い沈黙の後でありきたりな返事をした。
Kouさんが電話の向こうで苦笑したのが分かった。
おやすみなさい、と電話を切って僕はベットに潜り込んだ。
湧き上がった感情を必死に抑えようと目を閉じる。
涼さんに会いたい。
涼さんに話を聞いて欲しい。
今、何をしているのか
次にいつ会えるのか
知りたい。
でもそんなこと、言える筈もない。
どうしてこんなに涼さんに会いたいのかも
分からないけど。
それでも
このどうしようもない不安を消してくれるのは
きっと涼さんだけなんだって分かるんだ。


