後ろを向いたままの小さな背中を、力任せに抱き寄せたい衝動に駆られながらも
そんな自分の感情が治まるのを待って、ミナトくんの頭に手を置いた。
もう癖だな、と思う。
柔らかい茶色の猫っ毛を静かになでた。
「話してくれて
ありがとう……
――オレなんかに、簡単に口にして欲しくないだろうけど……
今まで、よく頑張って来たな。
辛かったな?」
ミナトくんはコクリと頷き、嗚咽を漏らしながら泣き始めた。
彼にとって
この過去が
あまりに暗く
そして
いかに重い足枷だったのか。
彼が思うように未来を選択出来ない理由が
この過去なら
オレの声と一緒に
捨てればいい。
もう
要らないものだ。
「ねぇミナトくん……
ミナトくんはもう、自由なんだよ。
何にも、誰にも遠慮しなくていい、キミだけの人生なんだ。
キミの過去を知ったってオレの気持ちは変わらないし
知って変わる人間は無視すりゃいい。
何もかも自由だよ」
そう言ったオレを、ゆっくりミナトくんは振り返った。
.
そんな自分の感情が治まるのを待って、ミナトくんの頭に手を置いた。
もう癖だな、と思う。
柔らかい茶色の猫っ毛を静かになでた。
「話してくれて
ありがとう……
――オレなんかに、簡単に口にして欲しくないだろうけど……
今まで、よく頑張って来たな。
辛かったな?」
ミナトくんはコクリと頷き、嗚咽を漏らしながら泣き始めた。
彼にとって
この過去が
あまりに暗く
そして
いかに重い足枷だったのか。
彼が思うように未来を選択出来ない理由が
この過去なら
オレの声と一緒に
捨てればいい。
もう
要らないものだ。
「ねぇミナトくん……
ミナトくんはもう、自由なんだよ。
何にも、誰にも遠慮しなくていい、キミだけの人生なんだ。
キミの過去を知ったってオレの気持ちは変わらないし
知って変わる人間は無視すりゃいい。
何もかも自由だよ」
そう言ったオレを、ゆっくりミナトくんは振り返った。
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