オレ達がビルの自動ドアをくぐると、決まった動きをするロボットみたいに受付嬢達が立ち上がった。



オレの顔を見た途端
キレイを売りにしているその顔が、明らかにひょっとこ状態に歪んだ。


今日の会見終了後はこのビルに戻る予定だったけれど
時間にして1時間は早い。

それにメンバー達と社用車で戻る筈だったから
見知らぬ少年と2人だけで正面玄関から現れたら驚かれても仕方ない。



その受付カウンターに
「遠山から連絡あったら仕事部屋にいるって伝えて」

とだけ言付けた。


受付嬢達が何か言いたげなのを無視し、ミナトくんとエレベーターへ乗った。



もう
諦められないと思っている、自分を自覚していた。



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