鞄にしまい込んだ
嘘のような出会いのサイン入りCDを思う。

あれだけが涼さんとの繋がりで……


知らない誰かが
涼さんの替わりにoneのヴォーカルになる――





望みとは裏腹に
湧き上がる感情が嫉妬なんだと気づいた。



気づいたって

どうしようもない。
どうにも出来ない。





昔の
何もかもが楽しかった頃の僕なら

飛びついたであろう
この夢は
諦めるしかない夢だ。






「待ちなさいよ涼」


マネージャーさんが涼さんの肩を引っ張った。



「ホントはよくないくせに、もういいなんて嘘つかないで。
この子がいいんでしょ!?それに……ミナトくん?
キミだって本心は違う
――そうじゃない?」



ズイッと
綺麗な顔が近づく。



すごい迫力だ……
しかもやっぱり女の人はスルドい。



「遠山!
だからって無理強い出来ないって……」



「それは分かってるわよ!
私も確かに強引すぎたわ
だから――
記者会見、見に来ない?」



え?
マネージャーさんが僕を初めて穏やかな笑みで見つめた。


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