苦々しい顔を作った涼さんが、ちっ、と舌打ちしたのが聞こえた。


「お前が入って来るとややこしいんだよ……
何でも事を性急に進めるからな…で、案の定だ」

「当たり前よ!
あんたみたく気分だけで生きてないんだから。
私は芸能人じゃなくてイチ会社員なもんで!
いいタマは逃がさないが心情なの――」


言いながら、
つい…と長い爪が僕の顎に置かれ、顔を持ち上げられた。


マネージャーさんは色んな角度から僕を吟味するように観察している。


恥ずかしくなって僕は目を伏せた。




「――ホントにキレイな顔よね?
肌もムカつくくらいツルツルだし
瞳…薄いよね?ハーフ?」


「いえっ!日本人…です只の」


「あそ。ハーフなら売り出しに使えるんだけど…
ま、いーわ!」


ポンポン自分のペースでマネージャーさんは話をする。






「ズバリ聞くわ。
ミナトくん……!
oneのヴォーカルオーディションを受けてくれない?」






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